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高柳 敏幸; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 6(13), p.3241 - 3247, 2004/07
被引用回数:29 パーセンタイル:67.75(Chemistry, Physical)300個のヘリウム原子からなるクラスターに付着したカリウム原子の光吸収ダイナミクスを最近われわれが開発した非断熱ハイブリッド量子シミュレーション法を用いて理論的に調べた。この方法では、カリウム原子のP電子を量子的に取り扱い、ヘリウム原子の運動は半古典経路積分セントロイド分子動力学法によって取り扱う。数十個のトラジェクトリーを計算した結果、初期励起の種類やクラスター初期構造に依存せず、すべての場合でカリウム原子がクラスターから脱離することがわかった。K*Heエキシマーの生成メカニズムを調べるため、ダイナミクスが断熱ポテンシャル面上で起こると仮定した計算も行い、型の電子励起を行った場合にエキシマーが生成することを見いだした。これらの計算結果は過去の実験結果と定性的に一致する。また、エキシマー中のヘリウムの溶媒和構造を経路積分分子動力学法によって調べ、第一励起状態では6個のヘリウム原子が第一溶媒和相に束縛されるのに対し、第二励起状態では2個だけが束縛されることがわかった。
和田 晃; 高柳 敏幸; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 119(11), p.5478 - 5486, 2003/09
被引用回数:22 パーセンタイル:57.9(Chemistry, Physical)サイズ選別したヘリウムクラスター中に溶かした銀原子の光励起ダイナミックスについての理論的シミュレーションを行った。銀原子のp電子の運動を量子波束法によって取り扱い、銀原子及びヘリウム原子の原子核の運動はすべて半古典経路積分セントロイド分子動力学法によって記述した。光励起前のクラスター構造を温度一定の経路積分分子動力学法によって求め、いくつかの初期構造について光によって励起状態に励起し、その後の時間発展を追いかけた。その結果、励起状態間での電子的な非断熱遷移が極めて効率的に起こることを見いだし、これが主としてヘリウム原子の量子性に起因することを突き止めた。ダイナミクスについては、ほとんどのクラスターは光励起後に、孤立銀原子とヘリウム原子に分解するが、一部は、銀の励起状態と数個のヘリウムが結合したエキシマーを生成することがわかった。